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コラム - 建築版温故知新(古きをたずねて新しきを知る)

茶室について(前編)

木の話や床の間の話で、さんざん茶室が出てまいりましたため、ここで茶室について触れておかずにはいられなくなってしまいました。今回と次回で茶室のあれこれ についてお話したいと思います。

茶室を語るには、まず茶人を語らなくてはなりません。茶人というと、千利休を思い浮かべる人も多いかと思います。ご承知の通り、侘び茶の創始者として有名です。数多くの小説や映画の題材になりましたので、歴史上の人物として馴染み深いでしょう。茶室は言うまでもなく、茶道においてお茶を点てる空間ですが、その建設に関しては茶人に負う所が大きいのです。千利休も優秀なデザイナーであり、草庵形式の茶室を創造した人として称えられるべき人です。事実、最初に述べたように、誰でも知っている茶人と言ってよいでしょう。では、ここで質問。あなたは千利休以外の茶人を何人挙げる事が出来ますか? 織田信長や豊臣秀吉も千利休の弟子ですので、広い意味では茶人ですが、ここでは除外しておきましょう。5人以上即座に挙げられたら、なかなかのものでしょう。

下記の系統図にとりあえず、利休を含めて32人挙げておきました。この内、比較的に有名なのは、堺の納屋衆でもあった豪商の今井宗久・津田宗達、千利休の実子で道安囲いに名を残す千道安、武将としても著名な蒲生氏郷・高山右近・細川忠興、織部焼などにも名を残す古田織部、織田信長の末弟で有楽町の語源でもある織田有楽、書道家としても有名な本阿弥光悦、江戸幕府作事奉行で作庭家としても知られる小堀遠州、表千家家元の千宗左、裏千家家元の千宗室、江戸時代後期の松江藩主松平不昧等でしょうか? 32人の内、江戸後期の不昧以外は室町後期から江戸前期の期間に生きた人々です。

茶人系統図(概略)

茶人系統図(概略)

上記の系統図でお分かりと思いますが、茶道の祖と言われるのは、千利休ではなく、村田珠光です。茶道は禅宗の僧侶のたしなみであったものが一般に広まったもので、珠光も大徳寺で学んだ禅宗の僧侶です。その孫弟子に武野紹鴎が現れます。堺の商人であった紹鴎は茶道を千利休や紹智・宗久・宗達らに伝えました。その後、利休が侘び茶を大成する事になります。道安は実子ですが若くして亡くなりましたので、妻の連れ子であった少庵が、利休の切腹の後も、侘び茶の系譜を伝える事になりました。氏郷〜宗二は利休の弟子で、特に氏郷〜有楽の7人を利休七哲と呼びます。少庵は七哲の一人である氏郷(会津を治めていた)の庇護のもとで苦難の時期を耐え、その子宗旦に侘び茶を伝えます。七哲の中でも武士としての地位もあった織部らは侘び茶だけでなく、大名茶と呼ばれる広間で行なう茶も開拓していきました。宗旦は侘び茶中興の祖で、その子宗守は武者小路千家、宗左は表千家、宗室は裏千家(以上を三千家と呼びます)と、その後の茶道を決定付ける流れを作り出します。光悦・遠州は織部の弟子で、大名茶も受け継いでいます。宗和はその流れを汲みます。宗偏〜亡羊の4人は宗旦四天王と呼ばれ、侘び茶をつたえました。石州〜不昧は道安から宗仙へ続く流れを汲んでいます。この中でも石州や遠州は、徳川将軍家の茶道指南役としても知られています。

茶道の流れがおぼろげながら判っていただけたと思いますが、それでは茶室とどう結びつくのでしょうか? 元々、禅僧のたしなみとして始まった茶道ですので、利休以前の茶道では、特に茶室という特別な建物があるのではなく、禅寺や商家等のごく普通の部屋を茶室としてお茶を点てていたようです。それが、千利休の登場で、草庵茶室というものが創造され、我々がイメージする茶室が生まれたというわけです。現在、重要文化財や国宝に指定されている茶室は20件ほどありますが、それ以外にも現存する茶室は数多く、明治以降に建設された茶室もたくさんあります。但し、屋敷などの一番奥まったプライベートな場所にある事が多く、非公開のものがほとんどです。

前回の床の間の話で述べましたように、茶室の事を「数寄屋」とも言います。これは茶人の事を数寄者・数寄人と呼ぶのと一緒で、「数寄」は「好」の字の当て字と考えられ、風流の意味で使われています。恐らく、草庵風の茶室をわざわざ作るような風変わりな人の意味でしょうから、草庵茶室の出現以降の呼称ではないでしょうか? 以下に重要文化財指定の代表的な茶室を挙げておきます。

八窓庵(旧舎那院忘筌):札幌市丸山公園 ←5〜10月公開

春草廬:横浜市三渓園 ←公開

春草廬

春草廬
(横浜市 重要文化財)

春草廬内部

春草廬内部

 

如庵:犬山市有楽苑(織田有楽による 国宝)←公開

如庵

如庵
(織田有楽 愛知県犬山市 国宝)

如庵内部

如庵内部

 

眞珠庵通仙院、玉林院南明庵及び茶室(蓑庵、霞床席)附蓑庵露地、竜光院書院(密庵含む 国宝)、聚光院茶室(閑隠席)、西翁院茶室(澱看席)、孤篷庵書院及び忘筌
京都市大徳寺 ←通常非公開、一部時期により公開

金地院茶室(八窓席):京都市南禅寺(小堀遠州による)←時期により公開

高台寺傘亭(安閑窟)及び時雨亭:京都市高台寺 ←時期により公開

高台寺傘亭

高台寺傘亭
(京都市 重要文化財)

燕庵:京都市薮内家 ←非公開

西芳寺湘南亭:京都市西芳寺(苔寺)←申し込めば可?

妙喜庵書院及び茶室(待庵):京都市山崎妙喜庵(千利休による 国宝)←申し込めば可

妙喜庵待庵

妙喜庵待庵
(千利休 京都府山崎 国宝)

水無瀬神宮茶室(燈心亭):京都市山崎水無瀬神宮 ←申し込めば可

水無瀬神宮茶室燈心亭

水無瀬神宮茶室燈心亭
(京都府山崎 重要文化財)

水無瀬神宮茶室燈心亭内部

水無瀬神宮茶室燈心亭内部

 

菅田庵及び向月亭:松江市 ←申し込めば可

注:見学の可否は不確定のためご確認下さい。

今回はここまでにしておきます。次回は、茶室の形式などについて述べたいと思います。

 
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