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コラム - 建築版温故知新(古きをたずねて新しきを知る)

茶室について(後編)

前回に引き続き茶室について述べたいと思います。

茶室の形式は、大きく分けて小間と広間になります。小間というのは四畳半以下の小規模な茶室で多くは草庵風茶室になります。広間は四畳半以上の書院などの部屋にしつらえられたもので、建物の一部の部屋がそれに当てられる事が多いのです。では四畳半はどちらかというと、どちらでもあり、どちらでもないというのが答えです。茶室においては四畳半は重要な大きさで、基本と言ってもよいのかもしれません。下記に広間の代表例(八畳間)と、小間の例をいくつか記しています。広間においては比較的定型化されているようで、流派による違いは少ないように思います。逆に、小間は空間が小さいことが影響してか、茶人や流派による違いが大きく、様々なパターンがあります。ここでは4つのパターン(四畳半切り、台目切り、隅切り、向切り)を記していますが、まず四畳半切りは基本的パターンと考えて良いでしょう。あとは、台目畳(一畳の3/4の大きさの畳)に炉を切る台目切り、隅に炉を切る隅切り、向板と呼ばれる板の間に接して炉を切る向切りです。それぞれの違いは、お茶を点てる所作によって生じるのですが、これ以外にも様々なパターンがあります。ただし、それらの実例はあまり多くはないようです。ここに記したパターンは、本勝手といって通常行われるパターンですが、左右反転させた逆勝手というものもあります。

広間の例(裏千家咄々斎・堀内家無着軒)

広間の例(裏千家咄々斎・堀内家無着軒)

点前畳
 
貴人畳
 
3・8
客畳
 
炉畳(□:炉)
 
5・7
通い畳
 
踏込畳
 
躙り口
 
給仕口(茶道口)
 
台目畳
 
 
四畳半切の例(裏千家又隠)

四畳半切の例(裏千家又隠)

台目切の例(実相庵)

台目切の例(実相庵)
(二帖台目)

 
隅切の例(妙喜庵待庵)

隅切の例(妙喜庵待庵)

向切の例(裏千家今日庵)

向切の例(裏千家今日庵)
(一帖台目向板)

 

茶室には、炉・床・給仕口・貴人口・躙り口(にじりぐち)などがあり、特に躙り口は小間の茶室に特有のものになります。給仕口というのは、主人(亭主とも呼ばれるお茶を点てる人)の出入口で、食事(懐石料理)や茶菓子を運び入れるので給仕口というようです。広間になると給仕をするための給仕口と主人の出入口の茶道口を分ける場合がありますが、小間ではほとんど共用です。貴人口は特に位の高い人の出入口、躙り口は小間にある客が背をかがめて躙り入る出入口です。躙り口には外側に刀掛けが設けられて、武士も刀をここに置いて丸腰で入ることになります。畳にはそれぞれ用途があり、名前が付けられています。図にあるように、点前畳は亭主が座って、お茶を点てる畳、炉畳は炉を切ってある畳、貴人畳は特別な客が座る畳で、普段は使いません。客畳はその名の通り、客が座る畳で、床に近いほど上席となります。通い畳は通路などになる部分で、通常は人が座ることはありません。踏込畳は主人等が茶室に入る場所の畳の事です。茶室では、畳に敷き方が決まっており、和室で嫌われることのある床差しになってしまいます。床差しというのは、明治以降に作り出された考え方ではないかと思いますが、茶室に限らず江戸時代の書院などでも天井の棹縁が床差しになっている例はたくさんありますので、それほど忌み嫌う事ではないように考えます。

ところで、茶室を依頼されたらどうしたら良いのでしょうか? 茶室のディテール集などがたくさん出ていますので、参考にすれば良いように思いますが、茶室は前述したように流派や茶人によって形式が異なります。そこでまずお勧めするのは、見本を見せて頂くことです。依頼してきたお施主さんが作りたいと思う見本が必ずありますので、それを見ることが不可欠です。その後の基本的対応は、その見本にいかに忠実に作れるかということです。その中でも、広間が比較的に作りやすいということは言うまでもありません。小間を作るとすれば細心の注意が必要で、オリジナリティを発揮しようと思ったら、お施主さんと充分すぎるほどの打合せを必要とします。前回述べましたように、茶室は本来、茶人というデザイナーによって、自由に発想されるべきものでしたが、それが江戸時代を通じて様々な階層に普及していく中で、最初に学ぶべきものが定型化されていってしまったものなのです。

茶室には「起こし絵図」と呼ばれる特殊な図面があります。草庵茶室は元々耐久性のある建物ではありません。そのため、有名茶人の好みの茶室を表現するために、平面図と立面図・展開図を組み合わせて紙製の建築模型のような折畳み式の組立図が考案されました。現在でも、いくつも残っていて、博物館などで見ることが出来ます。これを参考にして茶室を作ったわけです。ここで「好み」という表現が出てきましたが、茶道でよく使われる言葉です。「〜のデザインによる」「〜流」といった意味で、具体的には、「利休好みの楽茶碗」というように使います。茶碗に限らず、様々な茶道具や茶室に至るまで使われる言葉ですが、現在残されているそれらのもので、その由来が不明でも、鑑定によって「〜好み」とされているものが少なくないのです。

話が横道にそれてしまいましたが、何度も言うように茶室は本当なら自由に作るものです。しかし、江戸時代に広まった木割書(大工の秘伝書であった雛形集のようなもの)にも、数寄屋は数寄者の言う通りに作りなさいといった趣旨のことが書かれています。それほど茶室は難しいということかもしれませんが、もし、自由に任されるような機会に巡り会えたら滅多に無いチャンスですけれども、それには茶の心の本当の理解と卓越したデザイン力が必要となることを忘れないで下さい。

 
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