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コラム - 建築版温故知新(古きをたずねて新しきを知る)

建築見学へのお誘い(前編)

これまで、様々なテーマでお話しして参りましたが、そろそろ私の話も終わりにしようと思います。今回と次回で、「建築へのお誘い」と題して建築見学の面白さや、具体的な方法をお話ししたいと思っております。すでにお分かりと思いますが、個人的には歴史的建造物を見て歩くのを何より楽しみにしています。大学で建築史を学んだ影響かもしれません。第1回でお話しましたように、日本国内には重要文化財指定の建造物が2212件(H14年2月現在)あります。それ以外にも都道府県や市町村指定の文化財があるので、優に1万件は越えるでしょう。建築は生活の入れ物であり、文化や風習を伝えるものとして貴重であることは言うまでもありません。これらの建物を見て歩くことは、マニアックな要素も多少ありますが、非常に楽しいと(自分では)思っていまして、学生時代から、延々四半世紀以上も続けています。これまでに、国宝では全211件中210件(あと1件!)、重文は約半数を見ていますが、まだまだ見たいものが山ほどあります。

歴史的建造物の中でも、寺院は神社をしのぎ最も数が多く、重要文化財指定では約830件(神社は約560件)に及びます。寺院、神社に次いで多いのが民家(約330件)です。最近集中して見に行くのは、最も数の多い寺院の、特に塔(重文指定で約130件)にハマっています。その他には、仕事に関連して民家や洋館も興味津々です。皆さんも是非、近くの古建築に足を運んで頂きたいと思います。

しかしそうは言っても、どこに何があるか分からなければ、見に行きようがありません。皆さんは自分の住んでいる地域のガイドブックを買ったことがあるでしょうか? 例えば東京に住んでいる人は、東京の観光ガイドなど普通買いませんが、案外、自分の知らない情報が満載になっているものなのです。例を挙げれば、上野寛永寺、芝増上寺、池上本門寺など、名前を知っていても意識して見学にいらっしゃった方は少ないのではないでしょうか? これらはいずれも文化財の宝庫で、重要文化財クラスの古建築がゴロゴロしています。ガイドブック等にはそのような情報が書かれているので、改めて確認することが出来ます。

増上寺

増上寺 有障院霊廟二天門
(東京都港区芝公園)
重要文化財

本門寺

本門寺五重塔
(東京都大田区池上)
重要文化財

 

神社仏閣でなくても主要都市なら、ビル街でも見るべき建築がいくらでもあります。東京を例にあげれば、霞ヶ関の法務省や日比谷の三信ビル、丸の内の明治生命館、日本橋の日銀・三井本館など枚挙に暇がありません。大阪でも中之島周辺には各種の名建築がひしめきあっています。これらの情報は、建築ガイドマップなどの現代建築のガイドブックでも得られますし、私が愛用しているのは「総覧 日本の建築」シリーズです。このシリーズは(社)日本建築学会が編集し、(株)新建築社から発行されているもので、古代から現代に至る日本建築全体をカバーする、全11冊からなる建築ガイドブックの決定版です。しかし86年から発行が始まりましたが、未だに7冊目までしか発行されていない大作です。(未刊は甲信越・北陸、奈良・和歌山、大阪・兵庫、失われた名建築の4冊)。さらに気を付けなければならないのは、建築は生き物であり、常に新陳代謝していることです。ガイドブックにあるものが壊され、ガイドブックに記載のないものが新たに建設されていることはしょっちゅうなのです。また、「総覧 日本の建築」では地図の表示が甘いので、正確な地図と照合することが必要となります。

法務省

法務省(旧司法省)
(東京都千代田区霞ヶ関)
重要文化財

明治生命館

明治生命館
(東京都千代田区丸の内)
重要文化財

日本銀行本店

日本銀行本店
(東京都中央区日本橋本石町)
重要文化財

 

建築の見方は様々です。私のように歴史的建築物としての位置づけを見る建築史学的見方や、芸術品としての見方、経済活動としての見方、民俗学的見方、その他諸々です。どれが正解というより、どれでも正解でしょう。建築を見る人が、それぞれの興味で見れば良いということです。建築はその成り立ちで、様々な要素を持っています。例えば、建築家が設計した建築であれば、その建築家の意図や、当時の時代背景、歴史的先駆性、デザインそのものなどが重要な情報となります。民家のように建築家の関わらないものであれば、民俗的分析や地域的特徴、建設時期、所有者の社会的立場などが同様に重要な情報となるわけです。元々、建築は工学的アプローチだけでなく、美学的、あるいは社会学的などのアプローチがなされています。建築の見学においてもそれと同様のことが起こるのです。従って、自分の好きなように見れば良いのです。何かのきっかけで建築の一部の分野に興味を持ったら、そこから広げて行けば充分ではないでしょうか。

実際の見学では、事前にその建築の情報を入手することが必要になります。どのような建物で、どこにあり、どうすれば見学出来るかです。どうしても情報が無い場合は、失敗覚悟で出掛けることになりますが、それでは効率が悪すぎます。そこで役立つのがガイドブックです。対象によっては見学時間などが限定されますし、休業日がある場合もあります。建築は、外観だけでなく、内部空間や詳細が重要です。内部に入れなければ魅力が半減してしまうでしょう。神社仏閣などでは、内部に入ることが出来ない場合も少なくありませんが、宗教的な意味あいを考えれば、仕方の無いことだと思います。同様にビル建築や民家など個人の所有物では、内部が非公開のものが数多くあります。民家では敷地にすら入れないことが珍しくないのです。それらの場合は外観で我慢するしかありません。但し、そのような場合でも事前に承諾を得ていたり、コネクションがあれば、内部等の見学も可能になるでしょう。

建築の見学には、足として車が非常に便利です。一つの建築のみを見に行くのであれば 車でなくても良いかも知れませんが、何カ所も回る場合は何より便利です。特に神社仏閣でも民家でも交通機関から離れた不便な場所にあることがしばしばで、近くならマイカー、遠くならレンタカーを愛用しています。これまで見に行くのに最も不便だと思ったのは、京都府綾部市の近くにある光明寺二王門(国宝)と徳島県境に近い高知県の山中にある豊楽寺薬師堂(国宝)です。どちらも、交通機関で行ける最奥の人里からさらに、車で30分以上も山へ分け入ったとんでもない場所にあります。とても車が無いとたどり着けない所でした。逆に都市部であれば、歩きの方が合理的な場合もあります。建築が密集している地域では、狭い道でも自由に移動できる徒歩や自転車などが有効で、町並みの雰囲気を味わうにも適切です。各地に残る貴重な町並み(重要伝統的建造物群保存地区など)では、やはり徒歩でその風情を楽しみたいものです。

光明寺二王門

光明寺二王門
(京都府綾部市睦寄町君尾)
国宝

豊楽寺薬師堂

豊楽寺薬師堂
(高知県長岡郡大豊町)
国宝

 

今回は、建築見学の概要を述べました。次回は具体的なお勧めコースについて述べたいと思います。

 
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