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コラム - 建築版温故知新(古きをたずねて新しきを知る)

建築見学へのお誘い(後編)

前編に続きまして、今回は独断と偏見ですが、具体的なお勧めコースをご紹介したいと思います。茶室などはそれぞれの回で紹介していますので、そちらをご覧下さい。

前編でも少し述べましたが、都市部でも多くの名建築や古建築が数多くありますので、そこから始めたいと思います。東京では江戸城の遺構(櫓などが重文)が残る皇居や旧東宮御所の迎賓館(重文)を外すわけにはいかないと思いますが、どちらも申請が必要で、特に迎賓館は年1回(申し込みは5月頃、見学は8月)しか許可されません。しかし、迎賓館は日本の宮殿建築の白眉で、西洋建築を修得した日本建築界の一つの頂点を示しています。機会があれば是非見ていただきたい建築の一つです。

迎賓館

迎賓館
(旧東宮御所)
重要文化財<

それ以外にも霞ヶ関(法務省・国会議事堂・旧首相官邸・日本水準原点標庫・他)や日比谷(日比谷公会堂・三信ビル・第一生命ビル・明治生命館、他)、銀座(和光・銀座ビアホール・泰明小・歌舞伎座・築地本願寺・他)、日本橋(日本橋・日銀・旧森五ビル・三井本館・三越・三菱倉庫・他)などに見るべき建築が目白押しです。特にこの界隈は建築の新陳代謝が激しく、歴史ある建物が味も素っ気も無い無機質な建物に変わっていたりすると、怒りすら覚える事があります。我々一人一人が、街並みを構成する伝統的建築物に興味を示せば、それらの建物を何らかの形で存続させることが出来るようになるかもしれません。その意味では重要なことで、最近の外観一部保存(銀行協会・丸ビル・工事中の日本工業倶楽部など)の流行は、その流れに沿ったものと言えます。もちろん、新しい建物でも見るべき建築は数多くありますので、自分の好みで見て頂きたいと思います。一つ挙げれば、有楽町の東京国際フォーラムでしょうか。

大阪では中ノ島周辺が見所でしょう。中央公会堂・府立図書館・日銀大阪支店などが林立しています。また、大阪城でも天守閣は昭和初期の再建ですが、櫓などの一部の建物は重文に指定されていますので、ゆっくり見て回りたいものです。泉布観(通り抜けの近く、重文)、住吉大社(国宝)など、街中でも是非見て頂きたい建築がいくつもあります。新しい建物では、梅田周辺やOBPなどに目立っていますが、気になる建築では、デートスポットとしても有名な新梅田スカイシティを挙げておきます。

住吉大社

住吉大社
国宝

名古屋では、名古屋城や県庁周辺と白壁町へ至る辺りが楽しめる地域でしょうか。名古屋城は戦災で天守閣と御殿を焼失しましたが、櫓や門(いずれも重文)は残っていますし、県庁と市役所は帝冠様式の一つとして著名です。資料館(旧控訴院、重文)は堂々たる建築ですし、白壁町の街並みも捨てがたいものがあります。それ以外では、八事の興正寺五重塔や前田利家で有名になった荒子観音の多宝塔(ともに重文)なども見て頂きたいと思います。

名古屋資料館

名古屋市資料館
(旧名古屋控訴院)
重要文化財

京都は明治建築なども数多くあります(三条通りなど)が、それよりも神社仏閣の宝庫ですので、わざわざ取り上げるのもおかしいくらいです。しかし、所謂観光ツアー的な所を見て歩くだけでなく、少し違った所も見て頂きたいと思いますので、いくつか紹介いたしましょう。まず、桂離宮や修学院離宮は宮内庁への申請を必要としますが、どちらも数奇屋風書院の代表例で、庭園も含めて極上の空間になっていますので、是非何とかして見て頂きたいと思います。京都は応仁の乱で市中が焼け野原になったため、周辺部を除いては古い建築が少ないのですが、その中でも三十三間堂(蓮華王院本堂、国宝)と大報恩寺(千本釈迦堂、国宝)はともに鎌倉期の建築で、特に大報恩寺は市中で最古の建築です。周辺部では、醍醐寺は有名ですが、醍醐寺へ行くなら三宝院と上醍醐にも足を伸ばして下さい。近くの三宝院(国宝)は書院の典型ですし、歩いて1時間ぐらいかかる上醍醐は古建築の宝庫です。また、平等院も有名ですが鳳凰堂(国宝)は当然として、近くの宇治上神社(国宝)にも足を運んで頂きたいし、さらに足を伸ばせば、日野の法界寺(国宝)や黄檗の万福寺(重文)も素晴らしいものがあります。新しい建物では北山通り周辺がお勧めです。斬新な建物が様々な表情で並んでいます。

大報恩寺

大報恩寺本堂
国宝

奈良は古建築の宝庫といってよいでしょう。建築物の国宝の内、その3割が奈良県に存在しています。東大寺や興福寺は好きな寺院で、特に東大寺の南大門(国宝)は個人的にはベスト3に入る建築です。その東大寺も大仏殿だけ見て帰るのはもったいなさ過ぎます。鐘楼から法華堂、さらには正倉院や転害門(全て国宝)なども見て頂きたいものです。興福寺も東金堂と五重塔(ともに国宝)だけでなく、奥の三重塔(国宝)や近くにある元興寺極楽坊(本堂・禅室・五重小塔が国宝)や瀟洒な住宅風の十輪院本堂(国宝)、いくつかの民家と街並みなど見ない手はありません。橿原神宮の南に今井町というタイムスリップしたような町があります。寺内町として発展した町ですが、多くの町屋とともに江戸時代の雰囲気に浸って頂きたいものです。

東大寺南大門

東大寺南大門 国宝

それ以外の地域で、お勧めのエリアや建築をいくつか挙げておきます。北からいけば、まず函館。今井町と同じく重要伝統的建造物群保存地区の一つで、洋館が数多く残っています。一つ一つを見て歩くのはもとより、函館山からの夜景は絶景というべきものでしょう。山形の羽黒山も独特の世界を作っています。羽黒山五重塔(国宝)や三神合祭殿(重文)等の建築と湯殿山などの修験道と結びついた世界を見ることが出来ます。日光はわざわざ紹介する必要も無いと思いますが、東照宮を見るだけで終わらずに、輪王寺や大猷院、二荒山神社なども是非見て回って下さい。長野県の上田市とその西に広がる別所平は知る人ぞ知るエリアです。上田には天守閣こそ残っていませんが、徳川の大軍を二度も撃退した難攻不落の上田城や国分寺三重塔(重文)、別所平には塔の回で述べた大法寺三重塔(国宝)、安楽寺八角三重塔(国宝)、前山寺三重塔(重文)などがひしめき合っています。

函館

函館山より見る函館の夜景

岐阜の高山とその周辺も外すわけには行きません。高山市内の街並みはもとより、吉島家住宅や日下部家住宅(ともに重文)、隣接する野外建築博物館「飛騨民俗村」、それに足を伸ばせば、世界遺産の白川郷や五箇山が見られます。関西ではいくらでも挙げられますが、吉野や高野山と神戸の異人館エリアを挙げておきましょう。特に説明は不要と思いますが、高野山は奥の院まで足を伸ばすことや、金剛峯寺不動堂や金剛三昧院多宝塔(ともに国宝)を見ることを忘れないで下さい。神戸の北野町(異人館エリア)は高山の三町や白川郷などと同様に重要伝統的建造物群保存地区ですが、もう一つ挙げておけば、三重県の関町でしょう。名古屋から車ですぐですが、1キロ以上も古い街道筋の街並みが残っているのは感動ものです。四国では松山が捨てがたい町です。松山城(重文)や道後温泉本館(重文)はもとより石手寺仁王門・大宝寺本堂・太山寺本堂(全て国宝)など古建築には事欠かないエリアです。中国地方では、地域というより個々の建築で素晴らしいものがあります。鳥取の三仏寺投入堂(国宝)は断崖絶壁に建つ驚異の建築ですし、島根の出雲大社並びに同じ形式を持つ神魂神社(ともに国宝)は大社造りの典型です。厳島神社(国宝)は寝殿造りの形式を残している数少ない神社です。

白川村

白川村荻町集落
(重要伝統的建造物群
保存地区)

旧トーマス邸

旧トーマス邸
(風見鶏の館
神戸市北野町)
重要文化財

関町

関町関宿集落
(重要伝統的建造物群
保存地区)

 
三仏寺投入堂

三仏寺投入堂
国宝

出雲大社

出雲大社 本殿
国宝

これまでの話の中では高山で野外建築博物館(以下、野外博)という言葉が出てきました。これは、貴重な建築を移築して、保存するとともに一般に公開しているもので、全国に多数あります。ある意味では効率良く建物を見て歩ける都合の良い存在でもあります。近年では、個人所有の古建築(住宅や商業建築など)を維持出来なくなって、自治体や財団などに寄贈するケースが増加し、そのために野外博が増えていると見ることも出来ます。それほど古建築の維持には費用がかかるということでもあります。このジャンルで最も有名なのは愛知県犬山市にある明治村でしょう。明治時代に建てられた建築を中心に60棟以上も擁する最大の野外博です。スポンサーは名鉄で、近所には同じく名鉄の資金によるリトルワールド(世界中の住宅を集めたもの)がありますので、両方を1日で回るのはきついですが、一度見て頂きたいものです。それ以外では、横浜市の三渓園が質的に高い建築を集めています。生糸で財を成した実業家原三渓の建築道楽によるもので、臨春閣(重文)などの貴重な建物が見られます。

臨春閣

臨春閣
(三渓園)
重要文化財

川崎市にある日本民家園は民家を集めたものとしては質・量ともベストの一つで、一度足を運んでいただきたい所です。同様のものでは北海道札幌市に隣接する北海道開拓の村や、岩手県の遠野ふるさと村と北上市みちのく民俗村、福島市民家園、東京小平市の江戸東京たてもの園、大阪豊中市の日本民家集落博物館、香川県の四国民家博物館などが挙げられます。高山や白川郷周辺には合掌造りを中心にいくつもの民家園(飛騨民俗村・荘川の里・合掌造り民家園・下呂温泉合掌村)が点在しますし、沖縄にもいくつか(琉球村・おきなわ郷土村・玉泉洞王国村・八重山民俗園)あります。これらはいずれも大型の野外博ですが、1棟から数棟程度のものは全国に無数に(おそらく100箇所以上)あります。探して頂ければ、近所に必ずありますので、是非見て頂きたいと思います。

伊藤家住宅

伊藤家住宅
(日本民家園)
重要文化財

北海道開拓の村の一角

北海道開拓の村
の一角

玉泉洞王国村

上江洲家(重要文化財)
を模して復元した住宅
(玉泉洞王国村)

 

1年半近く、このコラムを書かせて頂きましたが、今回で一旦は終了させて頂きます。お読み頂いた皆様にはお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。一つ残念だったのは、当初、双方向でやり取りをしながら書きたいと思っておりましたが、あまり皆様から要望が出ずに、こちらの一方的な興味で書き続けなければならなかったことです。また機会がありましたらお会いいたしましょう。

 
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